ARTS SEED KYOTO

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THEATRE E9 KYOTOアソシエイトアーティスト
新聞家“合火”

実施形態、およびオンライントークイベントについて情報更新しました。(2月21日)

 

新聞家『合火』では、パフォーマンスのほとんどを〈椅子を作る〉その光景に当てます。今回にむけ作成した設計図のもと、オリジナルの椅子を数脚製作します。パフォーマンスはある種の静寂のなか粛々と進行すると思います。また手洗い・ゾーニングを徹底し、感染対策に務めますので、ご来場される方は可能な限りご協力をお願いいたします。

 

作品について

「合火(あいび)」は「食卓を共に囲む」という意味の古い言葉ですが、特に共に食卓を囲んではいけない者同士が食卓を囲むことを指して使われていました。ただなぜ会食を避けるべきなのか、いまもこの説明はうまく成されません。もしかするとたった今も、移動を制限したり、人を減らしたり、時間を限り、空間を仕切ることで探っているのはこの説明の正当性なのでしょうか。

 本作では〈椅子を作る〉ことで、同じ問い(なぜ会食を避けるべきなのか)を投げかけたいと思っています。感染症対策という名の習慣の変更は、繰り返すうち私に興味深い気づきを与えてくれました。何を変えるべきで、何を変えると不味いのかという横揺れの不安が常に付きまとう一方で、確かな変更に至り自分の生活や趣向に折れ目ができる瞬間があります。この折れ目が取り返しのつかないものなのか、それともまた伸ばせば殆ど見えなくなるものなのかは分かりません。今回は制作の中で思い切り〈椅子を作る〉ことで、この折り目を、複数の目が向けられている状況下で浮き上がらせてみたいと考えています。

(村社)


アソシエイトアーティストの最初の公演。 演劇の創作から上演にかかわる全ての行程をあらたな視点で問い直す気鋭の若手演劇作家。 コロナ禍にあって劇場のなかで出演者と観客が共に過ごすことを問い直す。そのキーとなるべく選ばれた素材は「椅子」。4日間の上演の中で、幾つかの椅子が制作されていく。

(あごうさとし)


日時

3月4日(木) 14:00
3月5日(金) 14:00
3月6日(土) 14:00
3月7日(日) 14:00

・上演時間予定 120分

 

実施形態

新聞家の活動拠点が東京のため、実施時期の新型コロナウィルス感染症の感染拡大の状況次第で3つパターンを想定しています。

 

1:E9での実施(客席あり)
2:東京都内某所での実施(客席あり)
3:オンライン配信のみでの実施 -( 2021年2月21日決定 )

※ Vimeoでの動画配信となります。
※ 動画URLは、前日までにご予約いただいたメールアドレスにお知らせいたします。

 

「オンライン配信というかたちについて」

2021年2月18日現在の状況を受けて、『合火』はオンライン配信のみでの実施と決めました。18日の夜20時半からzoom上で集まり、あごうさん、蔭山さん、福森さんとわたしの4人で話す中で、この決定についてご相談し、承諾いただきました。

なぜE9のアソシエイトアーティストとして制作する今回の作品が、E9ではなく埼玉県加須市を流れるある川のそばに立つキッチン付き、150平米のがらんどうの貸倉庫で実施され(関わる人間は3名のみ)、しかもパフォーマンスそれ自体は3月3日と4日にだけ行い(ここで初めて書いています)、撮りためたフッテージをなんやかんやして2時間の動画を4本制作し、4日間の公演期間に一日一本ずつリアルタイム配信するのか。そしてそれを公演、ないしは上演と呼ぶことになっているのか。このあたりの説明がここで簡単にできればと思います。

なぜ人が一つの場所に集まるかたちでの演劇の上演を諦めたのか、その訳を一言で言うのなら、それはこの作品が不要不急の演劇だったからです。忌み嫌われている言葉を使うのに他意はなく、実際にわたしは隣家で実施された演劇を、不要不急だと言って責めようとは思いません。隣家の演劇は不要不急ではなく、わたしの演劇がたまたま不要不急だったのです。

不要不急であるのなら中止にすればいいじゃないか、という意見はもっともだと思いますが、不要不急にもかかわらず本作は、「E9のアソシエイトアーティスト」という肩書で制作する機会をいただいているという背景があり、わたしにはそこには与したいという想いがありました。また不要不急にもかかわらず公演する機会が(当初は劇場も)与えられてるという事態はある種「おつ」で、個人的にはこの珍妙な状況に追いやられた(駆け込んだ)ことを密かに面白がっていました。

そんなときに、わたしはこの6年のキャリアのことも思い出していました。それは主に、助成金をとることが第一目標だった6年前のわたしのことです。コンペの結果はいつも鳴かず飛ばずで、とにかく助成金をとって一泡吹かせてやる(誰かを)とひたすら申請書を推敲していた日々でした。そして2014年の暮に連絡がきて翌年におおさか創造千島財団から20万円、さらに翌年にアーツカウンシル東京から助成金を7万5千円(!)だけとったときから、わたしの演劇のキャリアが始まったと言っても過言ではありません。これは可笑しな状況(なぜ額に関係なく助成金を取ると話題になるのだろう)だなと、当時思っていました。

そして今回の事態(不要不急だけども何かやるべし)を後ろ盾していたのは、やはりこの助成金です。公益財団法人セゾン文化財団という大きな後ろ盾があり、それに加えてあまりに寛容なE9の方々の判断があり、今回この文章を書くに至っています。

言いたいのは3つ前のパラグラフからなんとか説明しようとしている気分、「でもやらなくちゃ」のことです。そしてこの「でもやらなくちゃ」という気分が回す演劇実践のことです。わたしはいつもこの気分に頼ってきました。どこをどう削減し(中井久夫は週1回の診察について「治療が進展しやすい。その間におこった事件をとりあげて治療の題材にできるからであろう」と書いている)、省エネで、持ち運び可能・日にち変更可能で、身近で、コスパ良くできるのか。この消極的ともとれるいくつかの語彙が、演劇をもっと体に良いものに変えられるんじゃないかというわたしのイメージを常に支えてきました。やるために環境を変えるのでなく、環境に合わせていろんなことを見直し、時に諦めていく。

さて、不要不急の演劇とはどう作ったらいいのか、という問いとしばしわたしは向き合うことになりました。不要不急というからには、当然稽古と託けて集まらないことや、本番だからと言ってお客さんを集めないことが求められます。あるいは演者さんに、率先して語って(発話して)もらうのも避けたほうがいいだろうという考えにも早いうちに支配されました。どんどん出来ることが制限されていくような思いでした。

しかし考えてみれば、先に言った「でもやらなくちゃ」と今回の不要不急の演劇の制作は関係があるような気もしてきました。というか「みすみすろくな結果にはならないとわかっていても強行しなければならないなりゆきもあり、またなんの足しにならないことに憂身をやつすのが生甲斐である人生にもときには遭遇する」(金子光晴『どくろ杯』中公文庫,p7)、これです。「ぜひご来場を」という大義名分がすでになかったので、わたしはもろもろの要素(準備はオンラインミーティングのみ、マスク着用、助成金はちょうど使う、当日だけ3人の関係者が集合、椅子を作る作業をするのみ、編集した映像をリアルタイム配信)の検討をすでに終えていて、その先でただ〈黙々と手元を動かす日(本番)〉を見据えるようになりました。

最終的には、緊急事態宣言の延長(3月7日まで)が決定されたときに腹をくくったかたちでしたが、それまでの数週間も「不要不急」を土台にして、その上で出来ること・調整すべきことについてずっと考えていました。「演者さんに発話してもらってその心象について議論すること(稽古)はできないが、自在型のキャスター(許容荷重11daN)を8つモノタロウで注文しておくことはできる」などと。これは飛躍ではなく、適応です。「不要不急の(普段あれだけなまものなまものともてはやされる)演劇の制作」という未知の取り組みをするにあたって、慣れた考え方は捨てることにしました。

以上がことの経緯です。今回の決定について英断として語る代わりにこうやって内側の話をし続けるのにはかなりの困難を感じました。最後まで読んでくださってありがとうございます。兎にも角にもひとつ「この作品はいまやる必要がないという事態に即して作られた」ということを、2時間の上演を4日間行う中で示せればと思っています。ご覧いただけたら幸いです。(村社)

 

チケット

A:E9に来場して観劇※1:3000円(各回5名のみ)
B:都内スペースに来場して観劇※1:3000円(各回5名のみ)
C:オンラインで観劇:3000円(全日程観劇可能/リアルタイム配信のみ)

※1  AまたはBをご購入いただきましたお客様はオンラインでの観劇に振替させていただきます。
※2 支払いは事前精算のみになります。支払い後はいかなる場合も払い戻しには応じません。

 

チケット取り扱い

▽THEATRE E9 KYOTO

チケット購入はこちら

 

旗振り:村社祐太朗
協力:中川友香 土田高太朗
メインビジュアル:中島あかね

THEATRE E9 KYOTOアソシエイトアーティスト
助成:公益財団法人セゾン文化財団

 


◎オンライントークイベント 開催!

日時:2月26日(金) 20:00〜21:00
料金:無料/ご予約不要
E9 Youtubeチャンネルにてライブ配信
https://www.youtube.com/c/THEATREE9KYOTO/featured

出演:村社祐太朗
聞き手:THEATRE E9 KYOTO 芸術監督 あごうさとし/支配人 蔭山陽太

 

3月4日からスタートします公演に先駆けて、オンライントークイベントを開催いたします。〈合火(あいび)〉という名のもと、〈椅子をつくる〉という本作。このような作品を作るにいった背景や、作品実施のあり方など、本作について様々な角度からお話を伺います。またこれまでの新聞家の作品や活動についても合わせてご紹介いたします。ぜひ公演とともにお楽しみください。


 

お問い合わせ

新聞家
MAIL:sinbunka@gmail.com

 

ご予約、チケットに関するお問い合わせはこちら

THEATRE E9 KYOTO
TEL:075-661-2515(10:00〜18:00)
メール

 

新型コロナウイルス感染症感染予防の為
THEATRE E9 KYOTOへご観劇やご来場いただく皆様にお願い申し上げます。

■下記の症状がある場合はご来場をお控えください。状況によってはご来場をお断りすることがございます。あらかじめご了承ください。
・37.5°C以上の発熱。 ・次の症状がある場合。
咳、呼吸困難、全身倦怠感、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、味覚・嗅覚障害、眼の痛みや 結膜の充血、頭痛、関節・ 筋肉痛、下痢、嘔気・嘔吐
・過去2週間以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国・地域 等への渡航、並びに、当該国・地域の在住者と濃厚接触がある場合。
・特定警戒地域に指定された都道府県からのご来場はご遠慮ください。

■当日券を含む、すべてのご来場者様に、氏名と連絡先をお伺いいたします。ご予約のお客様はご予約時にお伺いしております。感染者が発生した場合、保健所等の公的機関の指示に従い提出いたします。予めご了承ください。

■ご来場の際はマスクの着用をお願いいたします。 ※何らかの理由で着用できない場合を除きます。

■受付時の検温にご協力をお願いいたします。

■「咳エチケット」をお守りいただき、手洗いや手指消毒のご協力をお願いいたします。

■来場者同士の接触、大声での会話はお控えください。

■出演者へのプレゼント、差し入れ、面会などはご遠慮いただいております。何卒ご了承ください。

※ご予約に関するご注意
・開演5分前までに受付をお済ませください。それ以降はキャンセル扱いになる場合がございます。お早めにご来場ください。
・公演中止などの不測の場合をのぞき、チケット購入後の返金、日時の変更はできません。
・E9には駐車場はございません、公共交通機関でご来場ください。周辺道路への駐車は、ご近所のご迷惑となりますので硬くお断りします。

 

※新型コロナウイルス感染症感染予防の為、ご来場される全てのお客様のご連絡先を把握させていただいております。
複数名分のチケットをご予約の際には、お連れ様のお名前、お電話番号を備考欄にて事前にお知らせください。
ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

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