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芸術参与村上太基氏のご紹介
2024.06.03
2025年度より次期芸術監督として就任いただく、演出家の村上太基氏(共通舞台)による挨拶文とプロフィールの紹介です。
初めまして、村上太基といいます。
僕は2018年から、京都を拠点に活動する舞台芸術カンパニー、共通舞台で演劇をつくっています。
僕がサッカー少年だった頃、姉は演劇部部長をしていて、母はよく観劇に出掛けていました。
その姉と母が演劇について話しているのを盗み聞きしながら、この人たちはなぜこんなにも興奮しているのだろうかと不思議に思っていました。そしてその不思議に思う気持ちが、いつしか演劇に対する強い興味になっていったのです。
2015年、僕は初めて劇場に足を踏み入れました。当時の僕は何をしても楽しくない、何を食べても味がしない、という世界を感覚することができないような状態にありました。
しかし演劇が始まったその瞬間から、止まりかけていた心が再起動していくのが感じられたのです。なるほど。ずっと不思議に思っていた姉と母の興奮の正体は、もしかしたら、「生きる喜びを手にする興奮」なのかもしれないと思いました。
そして今、「生きる喜びを手にする興奮」と出会いたいという一心で演劇をつくっています。その出会いを実現させるためには、常に「そもそも」に立ち返り、「本来」を追求する姿勢が欠かせません。
芸術監督というかたちでTHEATRE E9 KYOTOに関わらせていただくことで、「そもそも劇場とは何か?」という問いを得られたように思います。
その問いには、「現代において、舞台芸術をどのように継承できるのか?」
というアクチュアルな課題も含まれているでしょう。
そしてその課題と向き合うには、舞台芸術の枠に囚われることなく、あらゆる知と様々な人々の物語に出会い、新たな継承という物語を協創していく必要があるように思います。
関わる人全てと協創することを目指す共通舞台の姿勢と、THEATRE E9 KYOTOの物語とが出会うことで、新たな物語が生まれることを期待します。
みなさまと舞台芸術のこれからを協創していけたら幸いです。
どうぞよろしくお願いします。
THEATRE E9 KYOTO芸術参与 村上太基
■村上太基 プロフィール
演出家/共通舞台 主宰
京都学生演劇祭 ディレクター
GEIJUTSU FRONT 共同ディレクター
2024年度 THEATRE E9 KYOTO 芸術参与
神奈川県出身。
2018年に京都を拠点とするカンパニー、共通舞台を起ち上げる。
京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)にてアートプロデュースについて学んだことや、Club METROやKYOTO GRAPHIEなどでのスタッフ経験から、あらゆる関係性の中にジャンルとしてでない「演劇/劇場」を発見することを志向する。
2021年9月京都学生演劇祭 審査員賞受賞(ZOKEI クリエイション・メンバー)。
2022年9月京都学生演劇祭 審査員賞・KYOTO EXPERIMENT賞・TOWA賞受賞(共通舞台 演出)。