あごうさとし
一般社団法人アーツシード京都 代表理事
小劇場の危機-Black Boxの消滅-
文化芸術の華やかにみえる京都ですが、今、舞台芸術の創造環境は危機を迎えようとしています。2015年から2017年にかけて5つの小劇場が閉鎖いたします。所有者の高齢化や建物の老朽化などが主な原因で、構造的な転換点を迎えております。とりわけ、若い人でも低料金で利用でき、かつ、黒い箱形のブラックボックスと呼ばれる劇場形式は、芸術 文化都市をかかげる京都から完全に消滅してしまいます。
100 年の劇場をつくる
100年の劇場をつくる-現在の危機的な状況を受けて、私たちはそのような目標をもつようになりました。芸術や文化は、一朝一夕では実を結びません。継続されるその100年の歳月の中からは多くの人材が育ち、それらの人の手によって、時に世界的な評価を得るような歴史的な芸術作品が生み出されていくものと思います。市民の皆様にも、アーティストにも長く愛され、誇りに思っていただけるような劇場をなんとしても作りたいという思いでいっぱいです。
劇場という広場
「Theatre E9 Kyoto」では、レジデンス機能を持たせ、じっくりと作品がつくりこめるように環境を整えて参ります。劇場での上演の他、2 階のギャラリーでは、現代アート・メディ アアート作品が創作・発表されます。1階には、カフェも併設することで、1年を通じて市民とアーティストが集える「広場」にしたいと考えています。
芸術の種をまき、古都を彩る花を育む
2017年 3月、京都市より「京都駅東南部エリア活性化方針」と題して、東九条地域を「若者」と「アートの実践」によって、活性化させる方針が打ちだされました。地域の方々とも交流を密にして、人口減少傾向にある東九条地域の活性化に貢献して参ります。 私たちが植えようとしている、芸術の小さな種が、時を経てやがて、悠久の古都を彩る花となればと願っています。
ご支援とご協力のお願い
日本の舞台芸術においては、全国各地の民間の小劇場がその底辺を支えています。いず れも極めて公共的で、非営利の事業です。小劇場の建設を支援する公的な制度は、残念ながら存在しません。私たちだけでは解決しがたく、広く市民の皆様からの寄付が頼りです。皆様におかれましては、どうか私どものプロジェクトの趣旨にご理解を賜りたく、ご 支援とご協力の程、切にお願いを申し上げます。